血友病
けつゆうびょう

最終編集日:2022/3/30

概要

血液のなかには、血小板とともに血を止める役目をする12種類の血液凝固因子があります。出血したときに、血小板とともに血栓を形成させて止血するのが血液凝固因子です。血小板が十分にあっても、血液凝固因子が不足していると血が止まりにくくなってしまうのです。血液凝固因子が不足しているか、その働きが弱いために、出血しやすく血が止まりにくくなっている病気が血友病です。

先天性の血友病には、12種類の血液凝固因子うち、8番目(第Ⅷ因子)が不足、あるいは働きが弱いタイプ(血友病A)と、9番目(第Ⅸ因子)が不足、あるいは働きが弱いタイプ(血友病B)があります。


原因

先天性の血友病は遺伝的要因、あるいは遺伝子の突然変異で起こる病気です。その7割ほどは、母親がもっている原因遺伝子が男子に受け継がれて発症するため、血友病は男性に多い傾向があります。残りの3割は、遺伝子の突然変異によって発症します。

なお、第Ⅷ因子の働きを抑制する自己抗体が後天的に体内でつくられるようになって発症する後天性血友病というまれな病気もあります。



症状

血友病Aと血友病Bには、症状に大きな違いはありません。

最初は、四肢や臀部などに皮下出血(あざ)が出現します。やがて、関節内や筋肉内といった体の内部で内出血(深部出血)が起こるので、関節に痛みが走ったり、関節が動かしにくくなったり、腕やお尻が腫れたりします。

鼻や口のなかや、歯肉(歯ぐき)からの出血や、血尿などがみられることもあります。頭のなかや消化管で出血が起こると命にかかわる場合もありますので注意が必要です。


検査・診断

血友病が疑われる場合は、血液を採取して、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)などの検査を行います。PT、APTTはどちらも凝固因子の働きを確認する検査です。PTが正常で、APTTが通常よりも延長している場合に、血友病を疑います。そして第Ⅷ因子と第Ⅸ因子の血液凝固因子の検査を行い、血友病A、あるいは血友病Bの診断を行います。

治療

不足している血液凝固因子を薬で補充する治療が行われます。血友病Aなら第Ⅷ因子製剤を、血友病Bなら第Ⅸ因子製剤を使います。

補充療法には、急な出血時に行うケースや、手術を受ける必要があるので事前に行うケース、長期間継続して補充を行うケースなどがあります。


セルフケア

療養中

血友病と診断された場合は、ふだんの生活から出血に注意が必要です。家のなかではクッションを張るなどして転んだりぶつかったりしたときの衝撃を減らす工夫をする、靴などを選んで関節にかかるダメージを減らす、口腔内の出血を予防するために歯磨きや歯垢の除去などの口腔ケアを徹底する、といった出血のリスクを減らすことが大切です。



監修

東海大学 医学部血液腫瘍内科 教授

川田浩志

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