子どもの家庭内事故 落ちる(落下)編 ~多い事故のパターン
最終編集日:2022/8/5
●1~3歳くらいまでの子どもに多い落下事故
子どもの事故の中で一番多いのが、転倒や落下(墜落)です。私どもが調査した統計では、1歳をピークに、2~3歳くらいまでの子どもの事故の頻度が高くなっています。つかまり立ち、伝い歩き、よちよち歩きを始めるくらいの時期が危ないということです。寝返りが打てるくらいの子どもに多いのは、ソファや大人用のベッドからの落下です。もう少し大きくなると、小児用のハイチェアーの座面からの転落やテーブルに乗り移っての落下があり、さらに高いところでは階段からの転落があります。室内の事故が多く、屋外ではストローラー(ベビーカー)やスーパーのカートからの落下もあります。生活に密着した場所での落下事故が多いことが現状です。
落ちた際にけがをする部位は、おもに頭になります。子どもは頭の比率が大きいため、転んだ際に頭を打ちやすく、早期乳児(生後2~3カ月)までの子どもの頭の骨は薄いため、大きな子どもたちや大人に比べて骨折しやすくなります。家庭内の事故では、重症化することは多くありません。元気な子どもなら、先ほど挙げたようなところから落ちても、99%はそれほど重篤な状態には至りませんが、まれにハイチェアーから立った姿勢で落ちて、頭の中に出血を起こし、緊急手術に至る例もあります。
●抱っこひもからの落下に注意!
ここ20年程度の間で広く普及したことで注意したいのが、抱っこひもからの落下です。低い月齢の子どもが落ちることが多いため、頭の骨を折ったり、頭の中の出血につながります。予防には、抱っこひもを使用する保護者が注意するほかないのですが、支えずに屈んだり、締めつけがきついという理由でひもを緩めたりすることが事故につながります。装着時や装着中の注意に加え、メーカーに製品の改善を検討してもらうことも1つの手かもしれません。
●落ちないと思っていても落ちる
屋内の事故については、寝返りが打てない赤ちゃんでもベッドやソファなどから落ちることがあるため、少しでも目を離すときには50~60cmほどでも高さのある場所には寝かせず、リビングなどにマットレスを敷いて寝かせる等の工夫をすることでしか事故を防ぐ方策はありません。「落ちないだろうと思っていても落ちる」ということです。
事故を防ぐために気をつけて、と言うことは簡単ですが、どのように気をつけるかを具体的に示せるようにしたいと思っています。そのためには、保護者にさまざまな事故のパターンを知ってもらうことが重要です。また、工学的な面からも対策を練ることも必要なので、製品の改善などを専門家と協力して進めています。
監修
国立成育医療研究センター 救急診療科 診療部長
植松悟子
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