夏に増加する感染性(細菌性)胃腸炎の予防法
最終編集日:2023/7/3
暑い季節に増えてくるのが感染性胃腸炎、いわゆる食中毒です。なかでも、細菌が原因となる細菌性胃腸炎に注意が必要ですが、細菌の特性を知れば、予防は可能です。
●原因菌は腸炎ビブリオ、カンピロバクターなど
夏に細菌性胃腸炎が増加するのは、細菌が高温多湿の環境で増殖しやすくなるからです。
たとえば、原因となることが多い腸炎ビブリオ菌は、海水や海泥の中にいる細菌で、水温が高くなると活動が活発になって魚介類に多く付着するようになります。さらに捕獲された魚介類が高温多湿の環境におかれると細菌が増殖しやすくなります。
また、カンピロバクター菌は、家畜やペット、野鳥、野生動物などの多くの動物が保有している細菌で、動物やヒトの腸管の中で増殖します。食肉、特に鶏肉に付着していることが多いです。このほか、サルモネラ菌や病原性大腸菌などが原因となります。
●症状は激しい腹痛と下痢
おもな症状は激しい腹痛と下痢ですが、発熱や吐き気・嘔吐を起こすこともあります。多くは自然に治癒しますが、高齢者や乳幼児などは脱水症状を起こしたり、重症化したりすることもあるので注意が必要です。
●感染性胃腸炎を防ぐポイント
【細菌を増やさない】
魚介類や肉類には多少の細菌がついています。これを増殖させないよう、購入後は速やかに家に持ち帰って冷蔵庫に入れることが重要です。保冷剤や氷で冷やして持ち帰ればさらに効果的です。
【細菌をつけない】魚介類や肉類についている細菌をほかの食材(特に火を通さずに食べる野菜や豆腐など)につけないように注意します。調理に使用したまな板や包丁などの器具には細菌がついているので、そのままほかの食材を調理するのは厳禁。使用後はすぐに洗剤を泡立ててよく洗いましょう。同様に手も速やかに石けんを泡立てて洗うようにします。
【十分に加熱する】
細菌は加熱すれば死滅します。魚介類や肉類は生焼けにならないように十分に加熱しましょう。厚みのある肉は、調理用温度計を使って中心部の温度が75℃になったのを確認し、1分間以上加熱すると安心です。
【調理後はすぐ食べる】
調理後はすぐに食べるようにし、残ったものは清潔な容器に入れて速やかに冷蔵庫で保存します。保存したものを食べるときは必ず十分に加熱しましょう。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居 明
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