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不安が止まらないのは、こころの不調?―全般性不安障害―

最終編集日:2026/2/23

「漠然とした不安が続く…」「ちょっとしたことが心配になる…」。こうした状態が長期間続く場合は、「全般性不安障害(全般不安症)」という心の病気である可能性があります。聞き慣れない病名かもしれませんが、患者さんの数は決して少なくない病気です。通常の不安とはどのように違うのか、解説します。


●コントロールできない過剰で漠然とした不安が続く

全般性不安障害(GAD:Generalized Anxiety Disorder)とは、はっきりした原因や対象が定まらない、漠然とした不安が長期間続く心の不調です。通常の不安は、危険を察知したときに生命の警告兆候として現れるもので、安全が確認されれば自然に消滅します。ところが、不安が過剰で自分ではコントロールできなくなり、どんなことも不安になり、それがずっと続くことがあります。これが全般性不安障害です。


●漠然とした不安だけでなく、多彩な症状が現れる

メインの症状は、コントロールできないほどの過剰で漠然とした不安(浮動性不安)です。通常の不安は対象(状況)があり、その対象から離れると不安が和らぐのに対して、対象が定まらないまま、さまざまなことへの不安や心配が持続するようになります。これが通常の不安と全般性不安障害の不安との大きな違いです。

それに加え、そわそわして落ち着かない、集中できない、刺激に敏感になる、イライラしやすい、些細なことが気になり続ける、寝つきが悪く夜中に目が覚めるなどの精神症状がみられます。

不安が身体症状として現れることもあり、頭痛、肩こり、疲労感、筋肉の緊張、めまい、ふるえ、のどの詰まり感、動悸、息切れ、吐き気などがみられます。こうした症状から内科を受診したものの原因が見つからず、検査を繰り返す人もいます。全般性不安障害は苦痛が強いわりに気づかれにくい疾患なのです。

原因についてはまだ解明されていませんが、神経伝達物質であるセロトニンやGABAの働きの偏り、危険を過大に考えてしまう思考のクセが影響しているのではと考えられています。発症に関しては、不安、うつ、怒り、罪悪感などのネガティブな感情に陥りやすい神経質傾向を持つ人に起こりやすく、遺伝的要因の関与もあるとされています。トラウマ的な出来事の体験やストレスの多い環境も発症に影響しているといわれています。


●適切な治療と周囲の対応によって、改善が期待できる

全般性不安障害は、うつ病や他の不安障害を併発したり、不安を紛らわせるために飲酒が習慣化してアルコール依存に進んだりすることも少なくないため、早期に医療とつながることが大事です。不安や体調不良が続く場合は、心療内科や精神科の受診が勧められます。

治療は、精神療法と薬物療法が中心になります。精神療法では、受容、共感的な態度で患者さんの話を聞き、過剰な不安により一時的に機能不全に陥っている心の状態を回復させる「支持的精神療法」、コントロールが困難な感情ではなく、認知(考え方)と行動に働きかけて修正することで、感情、思考、行動の悪循環を絶って症状の改善や問題の解決を目指す「認知行動療法」などを行います。

薬物療法は、主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が使われます。効果が現れるまで早ければ2週間、通常は4週間程度と比較的ゆっくりですが、副作用が少なく、ほとんどの人が大きな違和感なく服用できる薬です。

こうした治療とともに、家族や周囲の人の適切な対応も必要です。単なる心配性と思わず、不安の訴えを聞いて理解を示すことで、患者さんの不安は軽減します。


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監修

人形町メンタルクリニック 院長

勝 久寿