背中のニキビは「マラセチア毛包炎」かも?!
最終編集日:2025/6/30
なかなか治らない背中のニキビや、二の腕のブツブツに悩んでいませんか。
「夏になると背中のニキビが悪化する」「市販の薬を塗っているのに治らない」……もしかしたら、それは「マラセチア毛包炎」かもしれません。
マラセチアとは癜風菌(でんぷうきん)とも呼ばれるカビ(真菌)の一種です。誰の皮膚にも存在する常在菌ですが、毛穴の中で増殖すると炎症を起こし、ニキビのような赤い発疹が現れます。
一方、ニキビはなんらかの原因で皮脂の分泌が増えたり、毛穴のつまりやアクネ菌が増殖することで起こります。
つまり、マラセチア毛包炎とニキビは原因となる菌が異なります。ただ、症状となる発疹がよく似ているため、自身で違いを見分けるのは難しいかもしれません。
一般的には、次のような違いがあります。
【マラセチア毛包炎】
・軽いかゆみを伴うことがある
・発疹の大きさや状態は単一
・面皰(めんぽう/白ニキビ)はほとんど見られない
・痛みを伴うことがある
・発疹は大小さまざまで、状態が変化していく
・面皰が見られる
マラセチアは皮脂を好むため、脂漏部位である背中や胸に毛包炎が好発します。肩・二の腕に見られることもあります。またカビの一種なので、特に高温多湿の梅雨から秋口にかけて繁殖しやすくなります。そのほか、内服、外用を含めステロイドを使用しているとマラセチアが増殖しやすくなるといわれています。
なかなか治らない背中のニキビで悩んでいる場合、一度、皮膚科を受診してみるとよいでしょう。診断は、毛穴の内容物を染色し、顕微鏡でマラセチアを確認して行います。治療は、カビの増殖を抑える抗真菌薬の塗り薬や飲み薬が使われます。
マラセチアは常在菌ですので、くり返し再発する可能性があります。特に、高温多湿の時期には注意が必要です。
汗をかいたあとはシャワーを浴びることが望ましいですが、通勤・通学などで難しい場合には、汗をしっかりと拭き取り、肌着だけでも着替えるようおすすめします。暑い日には、吸水・速乾性のある素材や通気性のよい服を選びましょう。また、ジメジメした環境をつくらないために、エアコンなどを適切に利用して暑さや湿気対策を行うことが大切です。
監修
医療法人社団慈泰会 中野皮膚科クリニック 院長
松尾光馬