休み明けの憂鬱な気分から抜け出すには

休み明けのエンジンがかからない状態、やる気が出ない状態は、おそらく誰にでも経験があることだと思います。ですから、やる気のなさの度合いが小さいのであれば、集中できないのは単に“やる気”の問題として見なせるでしょう。ただ、文面からすると、やる気のなさの度合いがやや大きい印象があり、そうであれば、“やる気”という以上に、“体質”の問題、あるいは、職場の“過労”や“ストレス”といった問題も、可能性として考慮する必要がありそうです。そして、問題が大きい場合は、しっかりした対処が必要となってきます。

最初に、やる気のなさの程度が小さい場合ですが、その時は、まずは「自分だけではない、ほとんどの人が同じ経験をしている」と捉え直してみると、少し気持ちが楽になるかと思います。現代の社会はますます効率的になっているので、周りの人たちも皆勤勉であるかのように見えてしまいがちです。ですが、案外、各人の内面は、そこまで立派なものではないようです。例えば、ひとつ仕事が終わった後や、長い休みの後などには、人間ですから、つい、だらだらしてしまうものです。もし、仕事にもうひとつ集中できていなくても、こなすべき仕事は何とかこなせている、くらいに出来ているのでしたら、実は問題ではないはずですので、休み明けの1日目くらいは、堂々、ゆるゆる仕事をしていいのではないでしょうか。大丈夫、多くの人はそんなものですから。それでも改善を試みるなら、例えば仕事のやりがいをもう一度見出してみたり、退社後の楽しみを思い出して励みにしたりして、やる気を上げるという工夫をするといいでしょう。他にも就寝、起床の時間のリセットや、出勤前の軽い運動などがおすすめです。

次に、やる気のなさの程度が大きい場合、例えば、休み明けの1日目だけではなく、何日にもわたって集中できないような場合について考えてみましょう。そこまで集中できない場合は、仕事のうえでも何らかの支障が出てくるはずです。さらに、こういう場合は、休み明けにかぎらず、常日頃から、やる気が出ないのだろう、と推測されます。そして、やる気のなさは生まれながらの“体質”から来ている可能性があります。「覚醒水準」という言葉をご存じでしょうか。わかりやすく言えば、（脳が）活動的な度合い、シャキッとしている度合い、のことで、例えば、テキパキ仕事なり家事なりをこなせているなら、その時、覚醒水準は“高い”と言い、逆に、ノロノロしていたり、そもそも腰が上がらずに仕事に手がつかなかったりするようだと、覚醒水準が“低い”と言います。

どうやら、覚醒水準の高い低いが、もって生まれた体質としてもあるようで、例えば、ADHD（注意欠如・多動性障害）等の発達障害という特性をもっている人や、発達障害とまでは言えないけれども発達障害気味という人は、覚醒水準が低いことが知られています。覚醒水準が低いと、楽しいこと（旅行等）をやる時にはスイッチが入って集中できるのですが、興味のない義務的なこと（仕事等）を任されると、だらっとしたままで、なかなか手がつかず、やる気がおきない、という状態になります。もし、ご自分の行動を振り返ってみて、上記のことが思い当たるようなら、持って生まれた体質も原因のひとつかもしれないので、心療内科や精神科に相談してみることをおすすめします。薬物療法をはじめ、いくつかの対処法が考案、実施され、効果があがっています。

最後に、起床するのがつらい、とか、会社に行きたくない、と書かれているので、少し心配です。もしかして、職場での過労や人間関係のストレス、また、仕事そのものへの興味や適性といった問題が、やる気のなさの背景に潜んでいないでしょうか。文面には表れていないので、今回は軽く触れておくにとどめますが、もし、職場のストレスや適性の問題が関係しているようでしたら、職場環境の調整を上司や担当部署への相談や、異動や転職も含め、職業選択の再考も必要になってくるでしょう。さらに、ゆううつ気分が昂じて、うつ傾向、あるいは、うつ病類似の何らかの心の不調に陥りかけている可能性もあるので、やはり心療内科等の受診をおすすめします。

休み明けのやる気のなさと一言で言っても、単に気分的な問題から、体質や、職場環境の問題までさまざまなことが考えられます。いま一度、状況を見直していただいて、適切な対処をしていただけたらと願っています。