転院を繰り返す母、きちんと受診してほしい

お母様が、病院変更を繰り返すことに対し、心配していらっしゃるのですね。とくにメンタル系の病気の場合、医師との相性や信頼関係は大変重要なポイントとなりますので、自分に合った先生を探したいという、お母様の気持ちもとてもよく分かります。ただ、転院を繰り返すことで、お母様の状態を医師が継続的に見ていくことがむずかしくなり、治療にとってマイナスになってしまう場合もありますので、むずかしい問題ですよね。

そもそも、お母様は、どういった点が気に入らなくて、病院を変えたいと思われたのでしょうか。患者さんが医師に求めるものは、人によって違いがあると思いますので、まずは、お母様が何を望んでいるのかを聞いてみてはいかがでしょうか。いくつかある場合には、優先順位をつけ、どの点が最も重要だと思っているのかを整理してみることも大切だと思います。

そのうえで、すべての希望を満たす医師を探すのはとてもむずかしいこと、病気の治療には、同じ医師が継続的に病状の推移を見ていくことも大切であることを、ご家族や主治医の先生から伝えてみるのもひとつかと思います。とくに、躁うつの方の場合、躁状態の時には行動的になり、転院したい気持ちが強くなることもありますので、そういった気持ちが症状のひとつとして出ている可能性もあることを、先生から説明してもらうのもよいかもしれません。

ただ、最終的には、やはりご本人の意思が尊重されると思います。ご本人が嫌がる病院に、無理に通院させることは出来ませんし、納得できないままですと、効果的に治療を進めることもむずかしくなってしまいます。お母様が転院をする中で、ご自分で気付かれる可能性もありますので、どうしても説得が出来ない場合には、転院をしてもやむを得ないと思います。また説得の際には、ご家族の意見を押し付けるのではなく、こういう考え方もあるよ、と提案するような伝え方がよいかと思います。お母様がご自分の気持ちを否定されたように感じてしまうと、治療を続けること自体に後ろ向きになってしまう場合もありますので、お母様の、治療を受けたいという気持ちをサポートしながら、話し合えるとよいと思います。

お母様が納得されるまで、少し時間がかかる可能性もあるかと思いますが、焦らずに向き合うことも大切です。お母様が、病気から一日も早く回復されますことをお祈りしています。