言い寄ってくる部下にどう接したらよい？

「言い寄ってくる部下」にどのように接したらよいかわからず、困っておられるとのこと。上司として冷たくするわけにもいかず、対応に苦心されているのですね。これまでもご自分なりに接し方を工夫してきたように思います。しかし、相手の言動が「エスカレートして」いるのであれば、これまでの対応ではご相談者の真意が相手に伝わっていないのかもしれません。「彼女に恐怖を感じる」ほどのつらい状況を改善するために、できそうなことを一緒に考えていきましょう。

部下の行動は業務上必要なコミュニケーションの範囲を超えていると思われますが、上司として部下の支えになることは「職務上」の役割として求められることでもあります。好意の中には、上司として頼りにしているという気持ちも大いにあるはずです。

この部下との接し方を改めて考えるうえで重要な視点は、ご相談者と部下はあくまでも組織における「職務上」の関係であり、個人的な関係ではないということです。

プライベートなメールに対して、個人的なやりとりをするつもりはなく、お互いにそうした立場にないことをシンプルに伝えられるとよいですね。また、業務時間内に仕事に関係のないメールをすること自体は控えるべきことであると、上司の立場として伝えられるとよいでしょう。

ただ「少し冷たく接したときにセクハラされたとの噂を流された」というご経験があるとのこと。誰しも、親しくなりたい相手から距離を取られたと感じた時に、不安を感じたり、動揺するのは自然なことだと思います。しかし、人によっては、その不安感や動揺が、相手を攻撃するという形で表現されることもあります。

攻撃させない、されないためにも、相手に対してできることとできないことの線引きをしつつ、相手の不安感といったネガティブな感情を刺激しすぎないように対応できるとよいでしょう。今回のように「プライベートなやりとりをするつもりはない」と伝える際には「具体的な仕事の相談には乗れる」など、上司の立場でできることを合わせて提示してはいかがでしょう。

加えて、相手を誤解させないためには、ご自身の言葉と行動が一致し、一貫した対応をしていくことが大切です。

また、今回の問題は「職場の規範から逸脱している部下への対応」と捉え、上長に報告・相談しておくことをおすすめします。お1人で抱えずに、社内の産業保健スタッフ（産業医や保健師など）にもぜひご相談ください。部下の言動や心身の状態をふまえながら、どのように接したらよいのか専門的な視点で一緒に考えてもらうことができ、負担を抱えているご自身のセルフケアを行う機会としても、ぜひ活用してください。

「会社に行くのも最近嫌になってしまい、憂うつ」な状態が心配です。精神的に疲れているときは、相手に対して冷静に一貫した対応を行うことも困難になります。体調不良や業務への支障が出てきたら、心療内科等の専門医への相談もご検討ください。