人前で話そうとすると言葉が出てこない
人前で話をするのがとても苦手です。会議で意見を求められても緊張して発言できなくなってしまいます。事前に資料を用意し、自分の意見をまとめておくなど、自分なりに努力もしているのですが、のどが詰まって冷や汗とともに言葉が出てこなくなるのです。病気でしょうか?
女性/20代
2023/07/30
人前で話すことは、誰でも少なからず緊張するものです。ただ緊張の度合いやその現れ方は人によってさまざまです。ご相談者は職場の会議で発言する際に、事前準備をされていても冷汗や言葉のつまりを感じ、病気なのではないかと心配するほどなのですね。
受診の目安ですが、今感じている症状以外にも、気分の落ち込みや不眠、食欲不振など、気になる変化が出ていて、その状態が2週間以上続いている、または仕事や生活に支障が出ているような場合には、専門医療機関の受診をおすすめします。もし、症状が会議の時に一時的に出るだけで長く続かないということであれば、ここで緊張してしまう場面について振り返ってみましょう。
まず、ご自身が人前で発言する時を思い出してみてください。どのような考えが頭に浮かんでいるでしょうか。「発言の内容が変に思われたらどうしよう」「また言葉が出てこなかったら」などと、ネガティブな気持ちや不安が浮かんでいませんか。そういった思考から無意識に自分に注意が向いてしまっている可能性があります。自身に注意が向くと、ふだんよりも自分の心臓の音や呼吸などが気になり、息苦しさや発汗を感じて、余計に緊張が高まります。緊張から少しでも言葉に詰まると、周りからどう見られているかと不安が強まり、さらにご自身の生理的な反応が気になるといった悪循環に陥ってしまいます。
もし思い当たるようでしたら、自分の外側に注意を向けられるようになると、内側のことが気にならなくなり、不安が少しずつ和らいでいくかもしれません。注意を自分の外側に向けるというのは、例えば、会議室内に置いてある物や参加している人など、周囲を観察してみるといったことです。いきなり会議の場で、意識を周囲に向けながらというのはなかなかむずかしいかもしれません。まずは気を使わないご家族や親しい友人との会話の中で、自分の外側に意識を向け、相手や周囲を観察しながら話す練習を行ってみてはいかがでしょうか。
このように、自分の思考や気持ちに着目して偏りがないかを見直し、より難易度の低い場面から段階的に不安や緊張を感じる環境に直面していく心理療法として認知行動療法があります。通常は、医師や心理の専門家と一緒に取り組みますが、仕事や生活に支障が出るほどの症状でなければ、ご自身で試してみることもできます。
適度な緊張感は、パフォーマンスを向上させるともいわれています。ぜひ今回のご相談をきっかけに、一歩を踏み出していただき、ありのままのご自身の意見を伝えられるようになることを心から願っています。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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