上司の指示が理解できない

前の上司のときは仕事がスムーズにできていたということで、新しい上司から「仕事ができない」と指摘され、戸惑っているのではないでしょうか。同僚にも相談しながら、上司の指摘に真摯（しんし）に向き合おうとしている様子がうかがえました。「上司の指示が理解できない」という問題をどのように改善すればよいのか、一緒に考えてみましょう。

周囲の人たちは「前の上司との違いを感じていない」ようですが、ご相談者は新しい上司の指示の出し方をどのように感じていますか。人にはそれぞれ、その人らしいコミュニケーションの取り方があります。新しい上司のコミュニケーションの取り方が、ご自身にとってはわかりにくいのかもしれません。また、上司がイメージする「仕事ができている」状態とは具体的にはどのような状況を指すのか、上司は伝えているつもりでも、ご相談者には正しく伝わっていないのかもしれません。

また、指示がよく理解できないのは、具体的には何がどのようにわからないのか、少し細かく振り返ってみるのもよいと思います。例えば、仕事の流れや手順がイメージできないのか、求められている結果のイメージができないのか、上司の表現が抽象的で言葉の意図することがわからないのか、などです。

指示のなかで何がわからないのかが明確になれば、わからない部分について具体的な質問を返すことができます。質問に対する回答を得ることによって、上司の発する言葉と自分の理解のズレが小さくなり、上司の指示をより明確に「理解できた」と感じられるのではないでしょうか。

コミュニケーションの問題のほかにも、心身のエネルギーが不足していて、指示が理解できない状況が起こっている可能性も考えられます。新しい上司の仕事のやり方に慣れていくために、おそらく、これまでよりも多くのエネルギーを消耗しているのではないでしょうか。

一般的には心のエネルギーが不足していると、集中力や理解力が低下するといわれています。以前はできていた仕事ができなくなっているのは、エネルギー不足のサインかもしれません。仕事以外の場面でも気力がわかなかったり、疲労感が続いている、睡眠や食欲などに支障が出ているなど、変化を感じていないでしょうか。もしこういった気になる体調の変化があれば、１人で抱えずに、社内の産業保健スタッフへの相談や、心療内科の受診を検討してください。