Question

貧血の乳児。次回検査まで様子見でよい?

9カ月の子ども(完全母乳)の相談です。離乳食で鉄分に気をつけていたにもかかわらず、採血の結果、貧血とわかりました。また、WBCやPLTが高値で、かぜ症状もなく、担当医から原因の判断がつかないとのこと。鉄剤を約4週間飲んで次回再度採血、様子見といわれています。大きな病院で精密検査を受ける必要はありますか?


女性/20代

2022/09/01

Answer

9カ月のお子さんが、血液検査で貧血とわかったとのこと。検査結果に所見があるといわれると何か大きな病気があるのではと心配な気持ちは理解できます。担当医の説明でもはっきりしたことがわからないと、なおさらのこととお察しします。


まず、子どもの貧血と治療について、WHOの基準では、生後6カ月~2歳までは、ヘモグロビン(Hb)が11g/dL以下、ヘマトクリット(Ht)が33%以下、平均赤血球容積(MCV)が70fl以下の場合を貧血と定めています。

子どもの貧血でもっとも多いのは鉄欠乏性貧血です。鉄分が不足し、ヘモグロビンの合成が低下するために起こります。急速な成長のために鉄の需要が増える乳幼児期(特に9カ月~2歳)と思春期に好発します。乳児期後期の鉄欠乏性貧血は、多くが母乳栄養の場合で、離乳食が遅れがちの場合も多いといわれています。


赤ちゃんは、胎内で母親から鉄分をもらって生まれてきます。しかし、母乳や牛乳には鉄分があまり含まれていないので、生後6カ月頃になると母親からもらった鉄分の蓄えが少なくってきます。また、急に体重が増えていくので、鉄分が不足しがちになります。鉄欠乏性貧血は、一般的には緩やかに進行するため、自覚症状に乏しい場合が多いです。貧血が高度になると、顔色が悪い、活気がなくなる、不機嫌、食欲不振などの症状が現れます。


一般的には、生後6カ月~2歳の場合、血液検査でヘモグロビン(Hb)が11.0g/dLを下回る場合は、食事療法だけでなく、鉄剤による治療が検討されます。一般的にインクレミンという鉄剤が処方されます。定期的に血液検査をし、体の中の鉄分の蓄えが十分になったことを確かめてから鉄剤をやめます。通常、数カ月以上鉄剤の内服を続けることが多いようです。


子どもの貧血の程度については、一般的には検査結果の数値は重度の貧血ではないとされることが多いと思われますが、病状は主治医に確認することをおすすめします。処方された鉄剤は、指示通りに飲ませてください。鉄剤を飲むと、便が黒っぽくなったり、歯が黒ずんでくることがありますが、治療が終われば元に戻ります。


今後については、子どもの様子に変わったことがなければ、4週間様子をみていてよいと思います。顔色が悪い、元気がないなどの様子があれば、早めに受診しましょう。

大病院での検査の必要性ですが、通常は必要があれば主治医から紹介されます。次回受診の際に、貧血の程度や精密検査の必要性など、疑問に思うことを主治医に遠慮せずに相談するとよいでしょう。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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