Question

幹細胞とは?

よく耳にする「幹細胞」とは何のことですか?

女性/30代

2022/06/21

Answer

再生医療の実現に欠かすことができない重要な役割を果たすものが「幹細胞」です。

人のからだは、約60兆個の細胞でできています。脳や心臓、皮膚、血液などには、それぞれの働きを担っている細胞がありますが、このほかにこうした細胞を生み出す細胞があり、それが幹細胞です。幹細胞は、働きが悪くなった細胞を入れ替えたり、病気やけがで失われた細胞をつくり出したりしています。脳の細胞は脳の細胞に、心臓の細胞は心臓の細胞に分裂しますが、幹細胞は脳の細胞にも、心臓の細胞にも生まれ変わることができるのです。ほかの細胞を生み出せることが幹細胞の大きな特徴です。この特徴を利用し、脳や心臓、血液、皮膚、角膜など、からだのあらゆる部位を再生し、治療に役立てようという研究が行われています。


現在、研究が進められている幹細胞は2種類に分けられます。

1つは、実際に人のからだのなかで働いている「成体幹細胞」です。この幹細胞の種類としては、血液をつくる造血幹細胞や肝臓幹細胞、神経幹細胞などが見つかっています。また、胎児のへその緒から取り出す「臍帯血幹細胞」は、すでに治療に使われています。

もう1つは、どんな細胞にも変化できる「多能性幹細胞」で、具体的には「ES細胞」と「iPS細胞」があります。この2つの違いは、ES細胞は受精卵が成長する過程の胚からつくられるのに対して、iPS細胞はからだの細胞(体細胞)からつくられるということです。ほかにも、体細胞と卵子からつくられる「ntES細胞」の研究も進められています。


これらの幹細胞の実用化には、医療へ応用する際の難易度やリスク、倫理上の問題など、のり越えなければならない課題がたくさんあります。しかし、こうした課題をクリアできたとき、たくさんの病気治療に応用できると期待されています。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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