子どもの薬と大人の薬の違い

子どもの薬と大人の薬では、いったいどこが違うのでしょうか。もし量の問題だけならば、量を減らして調整すれば、大人の薬を子どもに使っても大丈夫でしょうか。(1歳7か月|男児)
この質問への回答
福島県立医科大学 甲状腺・内分泌センター センター長
横谷 進
子どもと大人で共通に使える薬はたくさんあります。そのような薬では、量を適切にすれば子どもにも使えるわけです。ただ、大人の内服薬の多くは錠剤やカプセルなので、それを切ったりつぶしたりして適切な量にすることは、家庭ではむずかしいと思います。また、どの薬が子どもにも使えるのかの判断もむずかしいことです。
一方、子どもと大人で違う薬を使ったほうがよい場合も多々あります。解熱剤を例にして考えてみましょう。大人は、自分に合う薬を経験的に知っていて、自覚できる効果を期待している(楽になりたい)ので、強力な解熱効果のある薬も含めて、いろいろな薬が使われます。それに対して、子どもでは、安全性への配慮が優先されます。実際、水痘やインフルエンザのときにアスピリンを使うとライ症候群(意識障害、けいれん、肝不全などをともなう症候群)を起こす頻度が増すといわれています。また、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン®など)がインフルエンザでは脳炎・脳症を引き起こしやすい可能性が指摘されています。メフェナム酸(ポンタール®など)はシロップ剤もあって小児によさそうですが、体温が下がりすぎることが珍しくありません。こうしたことから、小児に安全で使いやすいのはアセトアミノフェンということになっています。小児でも錠剤を好む年齢なら、第2の選択はイブプロフェンだと思います。
解熱剤に限らず、いろいろな薬が大人と子どもで違っているので、基本的には大人の薬を子どもに飲ませるのはやめたほうがよいと考えられます。


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