Question

あぐらがかけない

あぐらをかこうとすると、痛くてできません。どういう理由が考えられますか? 気になっています。

男性/30代

2022/01/28

Answer

あぐらの姿勢が痛くてできないとのこと。どんな理由で起こっているのかを知りたいとのご質問です。股関節の痛みを起こす原因について考えてみます。


股関節は太ももの大腿骨と骨盤をつなぐ大きな関節です。大腿骨の先端で球状の大腿骨頭(だいたいこっとう)を、骨盤のお椀状の形をしている寛骨臼(かんこつきゅう)が包み込む構造をしています。体重や動作を支える役割があり、姿勢によっては体重の2~4倍もの負担を支えることもある、非常に負荷がかかりやすい部位です。


股関節の形状には元々個人差があり、出生時点で大腿骨頭や寛骨臼などの形状は1人ひとり異なっています(先天的要因)。寛骨臼が適切な形で大腿骨頭を覆っていれば、バランスよく体重を支えることができますが、大腿骨頭を包み込む面積が狭い寛骨臼形成不全の状態では、関節部分の骨の表面を覆う関節軟骨がすり減りやすく、変形性股関節症の原因となります。


股関節の病気や症状は先天的要因に加え、運動などの負荷やけが、正座やしゃがむことが多い、重たい物を持つなどの生活習慣、加齢といった環境要因など、さまざまな背景や要因が絡み合って起こります。痛みには、おもに2つのパターンがあります。


・負荷がかかると痛む

起立、歩行、階段昇降時など負荷がかかったときに痛む場合は、変形性股関節症や寛骨

臼形成不全が考えられます。進行は緩やかで、徐々に痛みが出て、可動範囲が狭くなるなどの症状が出ます。強い痛みがあり、安静時でも痛む、半年ほどで急進行する股関節症もあります。


・動かすと痛む

足の爪を切るときなど、股関節の可動域を広げたときに痛みや違和感を感じる場合、大腿骨寛骨臼インピジメント(FAI)が原因の場合があります。大腿骨と寛骨臼がぶつかって関節組織を傷つけて起こる症状です。元々の大腿骨頭の形状と環境要因が重なって起こりますが、股関節を大きく動かすスポーツ(バレエなど)をしている人が発症することもあります。


私たちのからだの構造は基本的に同じですが、細部は微妙に異なります。関節は骨のほかに、関節軟骨や腱、靭帯、関節包などから成っています。それぞれの大きさ、強さなどは個人差があり、関節の可動域は一般に女性の方が広いようです。


股関節も同様に、元から個人差があるため、ご相談者が以前からあぐらの姿勢が痛いのでしたら、関節の可動域の問題が原因かもしれません。この場合、無理に広げないほうがよいと思われます。


一方、以前は問題なかったのに、現在は痛いという場合は、環境要因などで関節が変形した可能性も考えられます。股関節の痛みが、生活に支障をきたすほどなら、近くの整形外科を受診されることをおすすめします。股関節の痛みが進行すると、治療の選択肢が限られてくるため、早めの診断・治療が大切です。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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