Question

覚えることが苦手で困っている

年齢のせいか、仕事で使う専門用語やシステムの操作などを、なかなか覚えられません。会議やプレゼンでも、発表する内容の一部を思い出せないときがあります。どうしたら、記憶力を高められるでしょうか。

男性/50代

2021/12/21

Answer

歳をとるにつれ、日常生活では物忘れが多くなったり、仕事上でもうっかりミスをしたり、新しいことが覚えられなかったりと、若い頃には考えられなかった場面が増えていくものです。「加齢により、記憶力は衰えていくもの」と割り切って考えることもできるでしょうが、これからの社会生活や私生活を思うと、不安になる気持ちもよくわかります。


「記憶」は、短期記憶と長期記憶で成り立っています。短期記憶の容量は限られていて、短時間で忘れてしまうという特徴がある一方、長期記憶の容量は無限と考えられ、長期間に渡って覚えていることができます。新しいことを覚えるとき、まず短期記憶として覚え、重要な記憶は、そこから長期記憶へと移行し保存されます。つまり、記憶力の良し悪しは、長期記憶が決めているといってもいいのです。したがって、「覚えたことを、いかにして長期記憶にもっていくか」が重要になります。


その一つに「リハーサル効果」を利用する方法があります。これは、おそらく多くの人が実践している「何度も繰り返して覚える」というシンプルな方法です。たとえば、重要な会議で発表する資料を暗記しなければならないとき、結婚式でスピーチをするときなどに、言葉や文章を反復すれば、長期記憶へと送り出すことができます。さらに「何度も練習した」という前向きな体験そのものが、不安の軽減に役立つでしょう。


いくつかの事柄を関連づけながら覚えていく方法もあります。たくさんのことを記憶していく過程で、覚えた知識が増えてくると、「これは以前に学んだのと同じだ」と思い出し、別々のものと考えていた知識が結びつくときがあります。一つひとつの事柄を単独で覚えるよりも、今までに覚えたものと関連づけることで、長期記憶に移行しやすくなります。語呂合わせによる記憶法は、代表的な例といえるでしょう。


もし「一番古い記憶を思い出してください」と言われたら、「母親に怒られて悲しかった」「転んでけがをして泣いた」など、「出来事」をあげる人が多いと思います。これは「エピソード記憶」といわれ、出来事に感情が伴っているため、「経験」として記憶に残りやすいからだと考えられています。そこで、難解で覚えにくいことを記憶したいときには、「電車の中で暗唱して恥ずかしかった」「何度も答えを間違えて悔しかった」など、出来事や感情を結びつけて覚えてみましょう。「情報が多い=検索されやすい=思い出される」という流れで、想起しやすくなります。そして、覚えたことを書き出したり、実践したり、人に話したりすることで、さらに経験が深まり、記憶が豊かになっていきます。


言うまでもなく、直前に覚えたことは強く記憶に残ります。会議や試験などに臨む際には、最後の最後まで諦めず、直前まで資料を読み、何度も繰り返して、長期記憶に残るように働きかけてみましょう。「しっかり覚えられている」と実感できると、喜びとともに、自信も深めていけるはずです。いつまでも向上心を持ち続ける姿勢を、大切にしてくださいね。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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