Question

寂しさを訴えてくる母親とのかかわり方

遠方で一人暮らしをしている母親が、「寂しい」「一緒に暮らしてほしい」とひんぱんに訴えてきます。自分にできることはしてあげたいと思っていますが、仕事が忙しく、なかなか帰ることはできないため、後ろめたい気持ちになり悩んでいます。

女性/40代

2021/12/21

Answer

進学や就職などをきっかけとして、親子が離れ離れの生活になることは、誰にとっても避けられない問題です。また、親が高齢になればなるほど、離れて暮らす身としては、心配が募るものです。そのうえ、お母さまからしばしば不安を訴えられると、なおさら心が締め付けられる思いになるでしょう。多忙な毎日を送りながら、できる限りのことをしてあげたいと思っている、あなたのやさしい気持ちが伝わってきます。今のあなたにできることを、一緒に考えていきたいと思います。


一人暮らしで心細いお母さまの気持ちは十分に理解できますが、やさしいあなたを頼ってしまうあまり、「一緒に暮らしてほしい」という言葉で表現しているのではないでしょうか。不安な気持ちを一人では抱えきれず、無理を承知での「甘え」があるのではないかと感じました。そのような状況のお母さまの言葉を、そのまま受け止めて反応する前に、一度冷静に考えてみましょう。もし、あなたが、お母さまが望むように今の仕事を辞めて「一緒に暮らす」ことにしたら、どうなるでしょうか。一時的にはお母さまはうれしいかもしれませんが、しばらくたって「自分のために娘を犠牲にしてしまったのではないか」と、罪の意識に苛まれるかもしれません。せっかく自立して仕事に励んでいる娘を、親元に戻すのがよいことだと、お母さまは本当に思っているでしょうか。口に出さなくても、仕事に生活に一生懸命にがんばっているあなたのことを、お母さまは誇りに思っているはずです。


たとえ離れて暮らしていても、お母さまのためにしてあげられることは、いろいろあるはずです。たとえば、日常生活の不便さを改善し、お母さまが一人でも快適に安心して暮らせるように生活環境を整えてあげるなど、物理的な環境作りもその一つです。また、電話やメールなどを無理のない範囲で活用することも、心理的な支えになるでしょう。そのうえで、帰省できるときには、お母さまの話をいやな顔をせずに、じっくりと聴いてあげてください。限られた時間だからこそ、お互いにとって、質の高い貴重なひとときになると思います。


お母さまには、介護サービスなどの公的なサポートの利用は、まだ不要な状況なのかもしれません。しかし、デイサービスや訪問サービスなどを上手に利用するのも有効だと思います。話し相手になってくれる人ができたり、同じ立場の仲間ができたりすると、お母さまだけでなく、あなたにとっても心強いものです。誰かとコミュニケーションを取ること、社会とつながっていること自体が刺激になり、お母さまの心身の機能や日常生活の維持にもよい影響を与えます。また、そのようなサービスを利用する中で、家族とは違うかかわり方のできる専門家にサポートしてもらえることも利点となります。ただ、サービスの利用を勧める際には、お母さまを老人扱いしたり、病人扱いしたりすることがないよう、十分に気を遣いながら進めていくことが大切です。


そばにいてあげることだけが愛情ではありません。今のあなたの生活を大切にしながら、できる限りのサポートをすることで、あなたのやさしい気持ちは必ず伝わるはずです。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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