あがり症を克服したい
職場の朝礼で、前に立って話をすることになってしまいました。私は以前よりあがり症で、人前で本を読んだり、話しをしたりするときは必ず声が震えてしまい、心臓がバクバクし、手は小刻みに震えます。友達同士で話したりするのは全然問題なく、友達の中でも明るい方だと思います。
人の前であがっていることが知られるのも嫌で、なんとか今まで人前での発表やスピーチなどは断ってきたのですが、今度ばかりは逃げられそうにもありません。どうしたらあがらないようになれるのでしょうか。
女性/40代
2021/12/21
あがり症にも関わらず、これから始まる職場の朝礼では人前に出て話すことになりそうなのですね。
過去に人前に立つ際に必ずといってよいほど、声や手が震えて、心臓がバクバクするほどの体験があったのであれば、逃げられない朝礼に対して「どうしたら」と思い悩むのは無理もないことと思います。
基本的にあがり症は病気ではなく、人間が環境に適応するための正常な反応と考えられています。人前に出るなど、状況は人によってさまざまですが、なんらかの“緊張する”場面に遭遇すると、人間の体は身を守るために、自律神経が働き、心臓が高鳴り、顔が紅潮し、汗をかき、体に緊張が走ります。気持ちは不安や焦燥に傾きがちになります。そして、その場面から離れるなど、環境が変わると、元の心身状態に自然に戻ります。そのため、日常生活の中で大きな不自由がなければ、心配したり、治療をしたりする必要はありません。
では、今回のようにあがってしまう場面を避けられない場合にはどのように対処していけるのか、ここでは、あなたが朝礼を「ちょっと」“緊張する”場面、くらいにとらえられるような事前準備について考えてみたいと思います。
一つ目は、あがりと緊張のメカニズムを考え、自律神経を調整するという、本番直前の対策です。緊張していると、どうしても体の働きは敏感になり、速く動きがちです。そのため、本番では、普段の自分よりゆっくりした口調で話をするように意識しましょう。ゆっくりとした口調や動作は、落ち着いた印象を与えるという効果もあります。また、本番前には、緊張をほぐすために呼吸法(いわゆる深呼吸)をゆっくり繰り返し、呼吸しながら意識的に肩や首や背中の力を抜いていきましょう。同時に、目をつぶりながら「落ち着いて」「私なら大丈夫」などと自分に言い聞かせ、できる限りゆっくりとした動作で腕回しや首回しや肩上げなどの軽いストレッチをしてみてもよいでしょう。はやる気持ちを少しでも落ち着いた状態に近づけるための実践法になります。
二つ目は、当日前の準備です。「私は大丈夫」と言い聞かせるには、その根拠を自分で作ることが大切です。そのために、朝礼のスピーチ内容を本番の形式そのままに、ある程度自分で「できた」と思えるまで繰り返し、家族や友人の前などで練習することです。一人で行ってもかまいませんが、途中で内容を飛ばしたりせず、通して行うことは重要です。練習することで「慣れ」につながり、本番でのあがりが多少抑えられ、「私は大丈夫」と思える根拠となり、同時に自分の自信にもなります。できたイメージをうまく再現できるように、イメージトレーニングもしておくと、さらに効果的です。
三つ目は、今回のように人前に立つにせよ、事前にメンバーが明らかな場合は、自分が信頼できる何人かに「実はあがり症ですごく緊張する」といっておくことです。あるいはスピーチ前に「緊張しています」とあえて言うことで、場が和らぐこともよくあります。「あがっていることが知られるのも嫌」という気持ちはよくわかりますが、誰にも言わずになんとかしよう思う気持ち自体が、余計に緊張を強め、あがりの状態を作り上げるともいえます。何人かにでも知っておいてもらうことで、自分自身の味方を得る感覚が持てますし、朝礼でもその人たちを見て話すことで、結果的にあがりの状態を少し緩和できることにつながっていくかと思います。
最後に、あがりは、物事やそれに関係する人たちのことを大切に思う気持ちから生まれてきます。誰しもどうでもよいことには緊張しないものです。あがりそのものへの対処とともに、今あなたの中にある、周囲を大切に思う気持ちも、変わらずに大切にしていただきたいと思います。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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