同世代の友人と自分を比較してしまう
先日、同窓会に出席してから、自分と友人達の差を感じて落ち込んでいます。50代に入り、みんな仕事で要職に就いて生き生きと働いており、家庭もうまくいっているようです。一方、自分は出世もできず独身で、充実しているとは言いがたい毎日を過ごしています。今までは「これが自分の人生」と割り切れていましたが、同世代の仲間を目の当たりにしてから「このままでよいのか」と思い悩み、今後の人生を考えると暗い気持ちになっています。
男性/50代
2021/12/21
今まで“ありのまま、自分らしく”と思い生きてきたけれど、同窓会で久し振りに会った友人達と自分を比べて落ち込んでしまったのですね。「出世や円満な家庭が充実した人生、幸せの条件」と思ってしまうと、それらを持ってない自分を卑下して落ち込んでしまうのは当然のことでしょう。でも、本当にあなたの人生は充実していないと言い切れるのでしょうか。他人の人生を過大評価して、自分の人生を過小評価してはいないでしょうか。50年余りの人生の中で、あなたが築き上げたものや大切にしていること、人間関係、居場所があるはずです。ここで今一度あらためて「自分の人生」について振り返ってみましょう。
まず、同窓会で過ごした時間を“人生という流線の一地点”と捉えてみましょう。その線の先にある60代、70代ともなれば、出世の階段もほとんどの人が下りて、人付き合いは社会的地位によるものから個人的な友人へとシフトしていきます。家庭では子どもたちが自立して巣立ち、家族関係にも変化が出てきます。こうして人生は流れ、自分という人生の舞台は移り変わっていくのです。そう捉えてみると、今後の人生、自分ならではの舞台を生きていきたいと思いませんか。
私たちはついつい、見たり聞いたりしたことのイメージに影響されます。よくも悪くもさまざまな感情を引き出されて不安や迷いが生じ、そのために自分の大切にしている価値観が揺らいでしまうこともあります。例えば、悲劇映画やニュースを見聞きすると悲しくなり、喜劇やほほえましいニュースを見聞きすると明るい気分になりますよね。今回の件も、自分の意志とは関係なく、はからずも影響を受けてしまった一例と言えるかもしれません。ですから落ち込みそうになったら、とにかく楽しいことに触れて気持ちの落ち込みを防ぎましょう。そうしてネガティブ思考の囚われから、気持ちの交通整理をしていくとよいでしょう。
さらに落ち込みの悪循環になりやすいものの考え方のひとつに、「自分で実現してしまう予言」というものがあります。例えばプレゼンや会議などで、「人前で話すと赤面してしまうのではないかとか、ちゃんと話せないのではないか」と心配して、そのことで頭が一杯になってしまうことはありませんか。そして本番になると意識過剰になり、予測通りに赤面したり声が上ずってしまい、「やっぱり!」と思い込んだ結果、ますます自分で立てた否定的な予測を信じてしまう……。こうした考え方のくせが「自分で実現してしまう予言」です。もし自分が否定的な予測を立てていると気づいたら、落ち込みの悪循環に陥らないために肯定的に言い換える作業をして、「肯定的な予言」にしましょう。
さて、ここまで視点を友人達から“自分”に移してきて、何が見えたでしょうか。あなたにとっていちばんこころ安らぐ憩いの場所は、長いこと手入れをしてきた自分の人生という芝生であって、他人の芝生ではありませんよね。他人の価値観ではなく自分の価値観を生きることで、十人十色の人生を生きることができるはずです。そこに優劣はありません。そのうえで、「このままでよいのか」と問うのであれば、「自分にとっていちばん大切なものは何だろう」と自分自身に問いかけ、10年後、20年後にあなたの芝生がどのようになっているとよいのかビジョンを明確にし、そのために今何ができるのか実行可能なことを具体的に考え、トライしてみてはいかがでしょうか。
私たちは、結論や結果が出ていないものに興味を惹かれる傾向を持っています。簡単に結論がでない人生観についてはいっそのこと、“このままでいいのか”を“このままでいい”と結論づけてしまうのもひとつの方法です。そうすることで気持ちに区切りがつき、前に踏み出すことができる場合もあります。
最後に、「このままでよいのか」という疑問についてですが、人生を流れと捉えると、たとえこのままでいたくてもそうはいきません。それならば、気持ちが充実するようなことを増やして忙しくするのもよいでしょう。そのなかからまた新たな価値観や新たな出会い、バージョンアップした自分が見えてくるかもしれません。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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