救急車利用の仕方
最終編集日:2022/1/28
概要
最近、救急車を要請してから到着するまでの時間、要請した人が医療機関に収容されるまでの時間が以前よりも長くなっています。これは要請件数が増加傾向にあることと、要請した人の約半数が医療機関への入院を必要としない軽傷者であることが要因となっています。
救急車や救急医療は“限りある資源”です。この資源を守り、上手に利用することが求められています。
こんなときはためらわず「119番」を
大人のケース
・突然の頭痛や高熱、激痛・顔半分が動きにくい、しびれる
・ろれつが回らず、うまくしゃべれない
・視野が欠ける、物が二重に見える
・胸が締め付けられるような痛みがある
・急な息切れや呼吸困難
・吐血、下血
・突然の手足のしびれ、片側に力が入らない
・広範囲にわたるやけどをした
など
子どものケース
・頭痛をうったえ、けいれんがある
・頭をぶつけて、出血がとまらない、意識がない
・激しい下痢や嘔吐で意識がもうろうとしている
・腹痛をうったえ、嘔吐や下血がある
・くちびるが紫色で呼吸が弱い
・手足が硬直している
・虫さされなどでじんましんが出て顔色が悪い
・広範囲にわたるやけどをした
など
こんな状況や症状を見かけたとき
・交通事故や水難事故、高所からの転落
・意識を失っている
・けいれんしている
・食べ物をのどにつまらせ、呼吸が苦しい、意識がない
救急車を呼んだらよいか迷ったときは
急な病気や事故では、救急車を呼んだほうがいいのか迷うことがあります。そんなときには相談窓口を利用しましょう。
・「♯7119」
国が行っている「救急安心センター事業」です。電話をすると医師や看護師などの専門家が相談に応じてくれます。その場で救急車要請の必要性や緊急性を判断し、緊急性が高いと判断した場合には救急車の要請を、緊急性が高くないと判断した場合には受診可能な医療機関の紹介などをしてくれます。
・「♯8000」
国が行っている「子ども医療電話相談事業」です。電話をすると小児科医や看護師などの専門家が相談に応じてくれます。子どもの症状に応じた対処法や医療機関の紹介をしてくれます。
「119番」で伝える情報
突然の病気や事故で動揺しているときは「119番」をしてもあせったりあわてたりしてしまいがちです。電話を受けた指令員の質問にゆっくりと答えましょう。一般的な「119番」の問答例を紹介します。
(1)司令員「119番、火事ですか、救急ですか?」
「救急です」とあわてずにゆっくりと答えます。
市町村名から「○○市○○区○○町○丁目○番地○号です」と伝えます。
住所がわからない場合は目印になる建物や交差点などを伝えます。
だれが、どのようにして、どんな状態になったかを伝えます。性別、わかる範囲での意識や呼吸の有無、けがの程度などを伝えます。
「母親が胸の痛みをうったえて倒れました。意識はあります」
正確な年齢を答えます。わからない場合は「20歳代の若い人」「60歳代くらいの高齢者」などわかる範囲で伝えます。
通報者の名前と連絡先を伝えます。
「私は○○○○です。電話は・・・・です」
救急車の到着までにできること
「119番」を受けてから救急車が現場到着までにかかる時間の全国平均は、2009年は約7.9分でしたが、2019年には約8.7分に延びています。今後もこの傾向がつづくと考えられます。救急車が到着するまでの時間にできること、やるべきことを知っておきましょう。
命を救うための応急処置はとても大切です
まず、できる範囲で応急処置を行います。これは対象者の命を救うためにとても重要なことです。たとえば心肺停止状態になると脳に血液が届かなくなり、一般に15秒ほどで意識が消失し、3〜4分以上その状態がつづくと回復が困難になります。
救急車が到着する10分ほどの間に「心肺蘇生」や「AEDの使用」、「けがの手当」などの応急処置を行いましょう。
消防署や市町村などが開催する応急処置の講習会に参加したり、消防庁のHPで処置法の動画を見たりして事前に応急処置について学んでおくことが大切です。
救急車が到着するまでに用意しておきましょう
・健康保険証
・医療機関の診察券
・お薬手帳(見つからない場合は服用している薬)
・お金やキャッシュカード
・靴
・乳幼児は「母子健康手帳」「紙おむつ」「ほ乳瓶」「タオル」
など
サイレンが聞こえたらできることがあります
応急処置をする人以外に手伝ってくれる人がいる場合は、救急車のサイレンが聞こえてきたら目立つところに立ち、救急車に場所を知らせることが大切です。夜間は懐中電灯などの光を使って知らせるのも効果的です。
救急車到着後、救急隊員に伝えることをメモしておきましょう
救急隊員に次のようなことを伝えるとその後の処置がスムーズになります。
・病気や事故の経緯
・「119番」してから今までの変化
・応急処置の内容
・持病やかかりつけの医療機関、普段服用している薬
など
監修
東京医科大学医学教育学分野,東京医科大学病院総合診療科,准教授
原田芳巳
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