望まぬ妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」――薬局で購入可能に、何が変わる?
最終編集日:2026/4/6
2026年2月から、緊急避妊薬が薬局で購入できるようになりました。緊急避妊薬とは、避妊に失敗したときや、避妊をしないで性行為をしたときに、妊娠を防ぐために服用する薬です。「アフターピル」とも呼ばれています。薬局販売が決まるまでの経緯や薬の特徴、服用のタイミングなどを解説します。
●処方箋なしの薬局販売で緊急避妊薬の入手が容易に
緊急避妊薬は、性行為後できるだけ早く服用すればするほど高い効果を示す薬です。しかし、これまでは医療用医薬品であったため、入手するには婦人科などを受診し、医師から処方箋を出してもらう必要がありました。このため、休日や夜間に必要となった場合はすぐに受診できないため、入手が遅れてしまいます。あるいは受診に心理的抵抗があって病院に行けないような場合は、入手したくても入手できないというケースも少なくありませんでした。
そこで、海外の多くの国のように、処方箋なしの薬局販売で緊急避妊薬を入手できるようにすべきだという意見が以前からありました。一方で、「安全性が確保できるか?」「転売して悪用されるのでは?」「避妊がおろそかになるのでは?」など、懸念する声もあり、議論がなかなか進みませんでした。
そうしたなか、2022年に厚生労働省が募集した「処方箋なしの薬局販売」についてのパブリックコメントに賛成意見が多数寄せられたことを受け、翌年、厚生労働省は一部の薬局での試験販売に踏み切りました。
その結果、研修を受けた薬剤師が対面で販売するしくみを徹底すれば安全性などには問題がないことが実証され、ついに2025年10月、緊急避妊薬が「スイッチOTC(処方箋不要)」薬として承認されました。これを受け、2026年2月から要件を満たす一部の薬局に限り、緊急避妊薬の販売ができるようになりました。
●服用のタイミングと作用、副作用
日本でおもに使用されている緊急避妊薬は「レボノルゲストレル」という薬です。成分の合成黄体ホルモンの作用によって排卵を抑えたり、遅らせたりすることで、受精や妊娠の成立を防ぐとされています。効果は100%ではありませんが、性行為後72時間以内に服用すると高い割合で妊娠を防ぐことがわかっています。
副作用としては、吐き気や頭痛、倦怠感、不正出血などがありますが、多くの場合は一時的なものです。
服用後3週間以内に月経があれば、避妊に成功したといえます。また、その前に少量出血が2〜3日起こることがあります。これは消退出血といい、避妊効果を示すサインといわれています。
一方、月経予定日を10日ほど過ぎても月経がない場合は、妊娠している可能性があるので、妊娠検査薬を用いたり、婦人科・産科を受診して確認することが必要です。
●薬剤師の目の前で服用する薬
緊急避妊薬は「要指導医薬品」として一定の条件のもとで販売されています。薬剤師から持病やアレルギーの有無、妊娠や授乳の有無などを確認され、注意点などを説明してもらったうえで購入し、薬剤師の目の前で服用しなければなりません。
このように厳格な販売方法をとっていますが、必要な人が入手できるようにと、購入者の年齢制限はありません。未成年でも購入でき、その際に親の承諾は不要です。費用は7000〜9000円程度です(健康保険適用外)。
販売が許可されている薬局については、厚生労働省がホームページで「要指導医薬品である緊急避妊薬の販売が可能な薬局等の一覧」※を掲載しています。
なお、緊急避妊薬はあくまでも緊急に使われる薬です。再び同じ心配をしなくてすむように、避妊についてパートナーとしっかり考えていくことも必要といえます。
望まぬ相手から性行為を強いられた場合は、性感染症をうつされたり、体が傷ついたりしている可能性もあります。薬の服用だけで済ませず、速やかに婦人科・産科を受診することが望まれます。
※厚生労働省「要指導医薬品である緊急避妊薬の販売が可能な薬局等の一覧」
https://www.mhlw.go.jp/stf/kinnkyuuhininnyaku_00005.html
※2026年3月31日現在の内容です。
監修
小山嵩夫クリニック 院長
小山嵩夫