会社をやめるという夫を説得したい

ご相談者がご主人を何とか説得したいと思うのも当然だと思います。ただ、よく話し合いをすると、ご主人がやめたいと思う背景を知ることができるのではないかと思います。

まず、ご主人に起こっている状況を把握するためにも、ご主人が話しやすい応答ができるとよいと思います。誰でも、自分の意見を否定されたり、遮られたりすると、話しにくくなりますね。たとえ現実的にあり得ないことをご主人がおっしゃったとしても「あなたはそういう気持ちでいるのね」などと、ご主人のありのままの状態、言ったままの言葉で応答するよう心がけてみましょう。

それから、ご主人が退職を考えているものの、やりたいこともないようだというのが気になりました。ご主人が会社をやめたいと考え始めたのはいつごろからでしょうか。何かきっかけとなる出来事など、思い当たることはありますか。最近の食事や睡眠、体調や気分など、様子に変化はないでしょうか。ご相談者からみてご主人の様子を振り返っていただき、ご本人としてはどうかも聞いてみていただきたいと思います。

体調や気分の変化がある場合、心身の不調による影響で極端な思考に陥っている可能性もあります。ご主人の自覚がなくても、ご相談者からみて変化を感じる場合は「私」を主語にしてご主人に伝えましょう。「私はあなたが少し前から疲れているようなので気になっている」「私はあなたのことを心配している」などです。

きっかけを本人が自覚していない場合や、これといったエピソードがなくても日々の疲労やストレスの積み重ねで「退職したい」「退職しなければ」とまで思い込んでいることもあります。こういった不調が現れているようなら専門医への受診をご検討ください。このときも「私が心配だから一緒に病院で診てもらいましょう」とご主人を促せるとよいですね。

会社をやめるというのは非常に大きな決断です。ご主人自身も、後々この決断に苦しまなくて済むように、心身ともに健康な状態で判断する必要があります。健康な状態かどうか、一緒に見極めて差し上げてください。必要ならば、会社に相談のうえ、休職など一時的に仕事から離れることもできると思います。

最後に、ご自身も1人で不安なお気持ちを抱えてしまわないよう、信頼できる相手に聞いてもらいながらこの状況に対処されるとよいと思います。