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子どもが朝起きられない、病気? 怠け? 〜起立性調節障害〜

最終編集日:2026/5/25

新年度が始まったものの、朝、子どもがなかなか起きられない。やっと起きても気分が悪そうでシャキッとしないという場合、一見、怠けているように見えるかもしれませんが、実は「起立性調節障害」という病気が原因の可能性もあります。命にかかわる病気ではありませんが、本人はつらい思いをし、日常生活に支障が生じることもあるため、家族が早く気づいて、適切な対応をとることが重要です。


●起立したときに自律神経の調節がうまくいかずに起こる体の不調

起立性調節障害とは、起立したとき(立ち上がったとき)に自律神経の働きがうまくいかず、さまざまな不調が現れる状態をいいます。通常、人が立ち上がると、重力の関係で血液が下半身に移動します。このとき、自律神経が働いて血管を収縮させたり、心拍数を上昇させたりして、脳への血流が減らないように調節しています。ところが、自律神経がうまく働かないと、脳への血流が一時的に低下し、立ちくらみやめまいなどが起こってしまうのです。

患者は小学校高学年から中・高校生に多くみられ、男女比では女子がやや多いとされています。ちょうどこの年頃は、急激に体が変化する成長期であり、その変化と自律神経の働きがアンバランスになりやすく、さらに生活リズムの乱れ、ストレス、水分の摂取不足、筋力不足などの影響もあり、不調が起こるとみられています。


●起き上がって学校に行きたくても、行けない状態

おもな症状は、朝起きられない、立っていると気分が悪くなる、立ちくらみ、めまい、頭痛、動悸、食欲不振、倦怠感、集中力の低下などです。これらの症状は特に午前中に強く、午後になると軽減していく傾向にあります。そのため、時間までに登校できずに遅刻が続く、あるいは不登校が続くなど、学校生活に支障が生じるケースも多くみられます。

症状や状態を表面的に見て、「怠けているだけでは?」「気合いを入れればよいのでは?」などと思う人もいるかもしれませんが、自律神経がうまく働かないことから起こる体の不調であり、本人の意思でコントロールできるものではありません。

起立性調節障害が疑われる症状がある場合は、高校生までであれば、かかりつけの小児科を受診しましょう。症状によっては、小児神経外来や思春期外来などの専門医を紹介されることもあります。


●薬よりも、生活の調整と学校との連携が重要

日本小児心身医学会が中心になって作成した「小児起立性調節障害診療ガイドライン」によると、複数の症状があり、ほかの病気(鉄欠乏性貧血、心疾患など)が除外されれば、起立性調節障害と診断されます。くわしい検査をしてサブタイプ※や身体的重症度を判定することもあります。

治療は、まず生活の調整が重視され、規則正しい生活リズムや睡眠の確保、適度な運動、朝に水分や塩分をしっかりとることなどがすすめられます。また、立ち上がるときは頭を下げながらゆっくり立つことも、症状を抑える大事なポイントです。さらに必要に応じて、カウンセリングや心理療法などの心理的支援も行われます。それでも症状が改善されない場合は、昇圧剤などの薬による治療が検討されます。

家庭と学校が連携することも重要です。医師の文書(診断名と症状、配慮が必要なことを記したもの)を学校に提出し、理解を得たうえで、無理に朝から登校することを強いるのではなく、少しずつ登校できる時間や日にちを増やしていくようにします。


※起立性調節障害には、起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群、血管迷走神経性失神、遷延性起立性低血圧などのサブタイプがある。


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監修

目黒西口クリニック 院長

南雲久美子